「夢の終わりのそのつづき」 樋口有介

夢の終わりとそのつづき (創元推理文庫)

夢の終わりとそのつづき (創元推理文庫)

★★★☆☆


文庫本なので、バッグの中に常駐させておいて、
移動中や外出先で読んでいる ”柚木草平シリーズ” の一冊。
シリーズものなので外れることなく、落ち着いて読めました。



これは、初期の習作を大幅リメイクして、柚木草平シリーズに組み入れた作品とのこと。
そのせいか、プロットにちょっとぶっ飛んだところがあります。
が、大幅リメイクのおかげか、文体はいつもと変わらなかったので
あまり違和感はありませんでした。


樋口有介の文体って、語句の順序とか句点の位置とかが独特で、
不思議なリズムを感じるんですよね。
まぁ正直、このシリーズとかはどうってことない普通の推理小説なんだけど、
そのリズムが心地よくて、先へ進みたくなる魅力を感じます。


以下に、いくつか引用してみました。

―そういう野中を疲れさせた時間は意識していないだけで、どうせ俺の人生も疲れさせている。

―藪をつついて蛇を出さなくても、蛇はもうメガネをかけて、しっかり鎌首をもちあげている。

―平凡な青春が無神経に平凡であることに、珍しく俺は、腹も立たなかった。


皮肉屋でキザな主人公に、なんともよく合ってると思う。
もしかして、作者も皮肉屋でキザなのかも知れないですね(笑)


冊数を重ねるごとにちょっと説明が多くなって、のめり込み難くなっている気はします。
ちょっとお疲れなのかなぁ。。。
 (あるいは、疲れているのは読み続けている僕の方なのかも)
その、のめり込み難さが逆に、電車の中とかで細切れに読むには
丁度いいんですけど。