「陰日向に咲く」 劇団ひとり
- 作者: 劇団ひとり
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/01
- メディア: 単行本
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僕が信頼を置いている何人かの人がみんな、高評価だったので
読んでみました。
正直ぼくは、この本に出てくる登場人物には
あまりシンクロできませんでした。
でも、何と言うか、この本に出てくる登場人物はとっても面白い。
それに、妙な現実感があります。
いろんな人間を観察し、デフォルメして模写することでお笑いにしている
劇団ひとりならではの作品だなぁと、とても思った。
真摯に生きていて、でもちょっとどこかしら歪んでいて、
(でも本人達はそれに気付かず、)
そのために世の中のはずれに追いやられてしまう人達。
見てると、無性に悲しくなってしまう(あるいは腹が立ってくる)タイプ。
そういう人達への観察力と描写のリアリティには、年季が感じられる。
きっと劇団ひとりは、こういう人たちに魅力を感じてやまないんでしょうね。
この性向に共感できる人にとっては、とっても胸を撃つ小説になると思う。
売れたって事は、今の日本には多いのかもしれないですね。
ところで、世の中にはいろいろな才能がある。
記憶力がいい、数字に強い、言葉に力がある、自分を見失わない、
前向き、異性を惹きつける、反射神経がいい、カンがいい、努力家…
だれでも何かの才能を持っていて、
その総量は等しく平等である、
ただ世の中的に都合のいい才能を持っている人が、得をしているんだ、
というのが、僕の持論なんですが。
劇団ひとりの才能は、いままであまり考えた事がないものでした。
人間観察力が優れている、…これは、よくある。空気を読めたりするタイプ。
これとはちょっと違う。もっと局所的なもの。
特定の人達に対して強い興味を持ち、掘り下げて自分の中に取り込める能力。
…ナルシスト?(笑)
あと、文筆の才能は、まぁボチボチですね(笑)